寝具の話

 以前記事にしたこともあるのですが、睡眠といえば寝具の話題もよく出てきます。

 主に敷布団と枕ですが、寝ている時の身体がどう地面に接しているかで身体のリラックス具合が変わり、快適な睡眠に繋がるということですね。片目の布団がいいとか、低反発枕がいいとか、いやいやフカフカのがいいとか、人によって意見は様々です。

 ちょっと思い出して欲しいのですが、ふと寝落ちしてハッと目を覚ました経験はないでしょうか?身体の状態はどうだったでしょうか?特に布団や枕を使っていないのに思いのほか身体はスッキリしていたという経験は多くの人があると思います(内臓下垂が強かったりすると身体バキバキになる場合もありますが・・・)。

 布団や枕がいらないという話ではなく、人間の身体は環境に適応して、どんな状態でも眠ることができるということです。

ではなぜ人によって寝具の合う合わない、眠れる寝具と眠れない寝具があるのかと言えば、これまたその人の身体の状態ということになってきます。

 人間の身体の表面は真っ平らな場所というのはほとんどなく、必ず曲面になっています。リラックスして柔らかければより寝床の状態に適応できますが、緊張が抜けなければ寝床に隙間が生まれます。その隙間、わずかでも宙に浮いている部分を保つために全身の緊張がさらに強くなります。これを一晩続けることになるわけですから、身体もバキバキになるのは当然です。

 いわゆる売れている寝具というのはこの隙間を程よく埋めて、身体をリラックスさせてくれるので眠れるようになるということですね。特に最近はパソコンやらスマホやらで目を使いすぎて首肩周りを固くしてしまっている人が多いので、それに対応できる枕が売れているということですね。

 それなら身体云々ではなく、自分に合う寝具を買ったらそれでいいということになりそうですが、そうでもありません。

 特定の寝具を使わないと快適に眠れないということは、旅行などにも持って行く必要が出てきます。災害に遭って避難した時、寝具を持って行く余裕はあるでしょうか?そして、自分の身体の状態が変わる度により合ったものを探して買い替える必要もあります。自分に合ったものを見つけても寝具メーカーが作らなくなれば買い替えの度にまた一から探すことになります。

 道具に自分の生活の主導権があるというのは中々大変です。寝具に睡眠の質を丸投げにするというのは道具に生活の主導権を委ねているようなものです。道具というのは人間がより生活を便利にし、豊かにするために使うものですから、ある程度は頼ってもいいと思いますが、適応できる自分の身体を作っておくことは前提としてやっておくのがいいです。

 寝床に自在に適応しやすいリラックスした身体というのは、実は肉体的なストレス、精神的ストレスへの適応しやすい身体にも繋がります。

 言い換えると生きやすくということですね。