身体を助ける道具の話

腰痛ベルトに膝サポーター、インソール、身体に合わせたマットや枕など、身体の助けになるように色々な装具や道具が開発されています。

治療に来た方にこれらのことを相談されることもよくあるので、今回はそのお話です。これについても色々な考え方があるので、当院での考え方をお話しします。

こういった道具を使って身体の助けにすることは悪いことではありません。今現在、そうした道具を使わなければまともに生活できない場合、ギックリ腰で動けないとか、膝が痛くて階段の昇り降りが大変すぎるという状況の場合ですね。

ここで考えてほしいのは、その道具を一生使い続けるのか?ということです。

人間の身体は大概のことには適応できるようになっています。痛みがあっても痛みが出ないような動き方になってきたり、必要に応じて身体を休めたりするのが自然ですし、睡眠に関しては本来どこでも眠れるのが当たり前です。

身体の助けになる道具というのはあくまでもサポートであって、自分自身の機能が高まったり、扱いが上手くなっているわけではありません。

ベルトやサポーターをつければ楽に動けるが、外せば痛みで動くのが辛いまま、というのではやはり生活していて不都合ですし、特定の枕やマットでなければ眠れないとすれば、旅行に行ったりする時も寝具を持ち歩かないといけないことになります。

道具は身体のサポートのためのもの。道具を使わなくても普通に生活できるのが当たり前です。道具でサポートしている間に身体の扱いや、適応能力をどのようにしていくのか、が実は1番大事です。

例えば腰痛ベルトやサポーターなど関節を保護するものについて言えば、常にその関節に負担をかけるような生活をしているということですから、現在ある症状をまずは治療で改善し、日常の中での動きのクセを不調に繋がらないように変えていくことが必要です。

スポーツなどの競技を専門にする方であれば、道具に頼りながらの競技生活を続けると、結果的に選手生命を縮めたり、引退後も不調に悩まされるということが起こり得ます。

寝具も、その時の身体の状態に対しては良くても、身体の置かれているストレス状況が変わったり、何かの拍子に身体の状態が変われば、新たなものを探したり作り直したりすることを一生続けなくてはならないことになります。

身体を整える、身体をつくるということの背景には、「色んな環境に適応できるように」という言葉が実は隠れています。

色んな環境に適応できる身体であれば、大概のことは大きな問題にならずに、毎日を思い煩わず普通に生活することができます。

色んな環境に適応できる身体というのは、不調を抱えたり、不調の種を隠している身体とは根本的に違います。常に変化に適応できるので、突発的に大きな不調に陥る前に気付けたり、早めの対処ができたりします。

突発的に起こる大きな不調は色々溜め込んで爆発したようなものですから、改善に時間も回数もかかるし、結果としてお金もかかります。

身体を整える、身体をつくることは、実は将来的に自分の活動の自由度を上げる上に、長い目で見た時のコストパフォーマンスもいいです。

現在朝6時から開催中のトータルコンディショニングウィークは、色んな環境に適応できる身体をつくるための入門的なワークを皆で5日間挑戦しようというオンライン企画です。

今月の申込は終了していますが、来月も開催しますので、気になった方はどうぞ。

トータルコンディショニングウィーク

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